気にくわぬ
- koimoiwao
- 2015年10月30日
- 読了時間: 1分
相手を岩手日向バス停に呼びだそうと思う。
沿岸山田町での用事を終え、来た道をもどるのはつまらないから田老・岩泉経由の車中で目に
止まった路線バス停留所まえの吊り橋であり、こちらはすこし遅れて着くのである。
待たせた相手に非礼を詫び、 「むこう岸まで行きましょう、ゆっくりで構いません」 などと誘い、それはみごとになみ打つ渡り板を歩かせます。相手は足元に注意を集中するから
及び腰になるところへ重心移動を際立たせた揺さぶりをかけてみる。
おっ、おいとか、やめなさい、後でどうなるかわかっているんでしょうね、などと云っている
ようだが聞こえぬ。 「ふはははははは、ホーレ、ホーレ」
の声にかき消されており、吊り橋はおもしろいようにたわみ軋み、ひとりふたりと川面に投げ
だされていくばかりなのは爽快だ。
そして、安心しろ。そう思う。 渡し板から水面までせいぜい4メートル、水深は30センチに過ぎない。 落ちたときの音はさしずめ、タッシャーン、であろう。

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